大腸疾患

食道乳頭種

大腸良性疾患

大腸ポリープ(大腸腺腫)

大腸腺腫は大腸に多く発見されるポリープで腫瘍です。基本的に良性ですが、中には数年かけて徐々に大きくなり大腸癌になるポリープもあります。大腸癌の大半は、この腺腫から多く発生すると考えられています。症状が無くとも腺腫を切除することで、大腸がんになる可能性と大腸癌で死亡する可能性が低下することが報告されています。

症例1(同一患者)

通常光 
特殊光(NBI)

症例2(同一患者)

通常光 
特殊光(NBI)

大腸ポリープ(大腸過形成ポリープ)

過形成性ポリープは、腺管の鋸歯状変化を伴う過形成性増殖からなる隆起性病変で加齢などを原因に生じるといわれています。10mm以上の場合には癌化の可能性があると言われています。

症例1(同一患者)

通常光 
特殊光(NBI)

症例2(同一患者)

通常光 
特殊光(NBI)

大腸ポリープ(大腸鋸歯状ポリープ)(同一患者)

腺管が鋸歯状のこぎりの歯のような構造を呈するポリープで、前述の大腸過形成ポリープと類似していますが、腺腫と同様に癌化するリスクがあるポリープとして近年注目されています。

通常光
色素染色
特殊光(NBI)

虚血性腸炎

動脈硬化や便秘による腹圧上昇で、一過性に大腸を栄養する血流障害が生じ大腸粘膜にびらん(ただれ)や炎症がおきる病態です。症状は突然の腹痛で発症し、下痢や血便、腹痛が起こる疾患です。稀に入院や手術が必要なこともありますが、ほとんどは通院による保存的な治療で治癒します。

感染性腸炎

手指や食品、水を介して各種のウィルスや細菌により、発熱、下痢、腹痛、悪心、嘔吐などの様々な消化器症状を呈する疾患です。温度や湿度の高い夏には細菌性腸炎が多く、気温も湿度も低い冬にはウイルス性腸炎が増加します。汚染された食品や水などを介して感染することが多いのですが、ヒトからヒトに感染しやすい感染症や、動物などを介して感染するケースもあります。

細菌性大腸炎

カンピロバクター、サルモネラ、O-157などの病原性大腸菌、赤痢、コレラなど、幅広い細菌によって生じます。生肉や生卵、ヒトからヒト、ペットを介した感染などがあります。治療は絶食安静のほか症状にあわせた対症療法が基本となり、起因菌による抗菌薬投与も併用します。

ウイルス性腸炎

さまざまなウイルスによって発症しますが、ノロウイルスやロタウイルス、アデノウイルスによるものが発生しやすい傾向があります。ノロウイルスが付着した場合には漂白剤などで拭かないと不活化できないため、接触感染で広がりやすく、注意が必要です。治療は基本的に、対症療法のほか絶食安静を保って自然治癒を待ちます。ただ水分補給が十分できない場合には点滴による補充を必要とすることもあります。

炎症性腸疾患

大腸や小腸の粘膜に慢性の炎症または潰瘍を引き起こす病気をまとめて「炎症性腸疾患(IBD:inflammatory bowel disease)」と呼びます。潰瘍性大腸炎とクローン病が代表的な疾患です。原因がはっきりわかっておりませんが、自己免疫の異常や食事、病原体などの抗原侵入、遺伝的な要因、細菌・ウイルス感染などが関与しているとも言われています。厚労省の難病指定を受けています。どちらも消化管に慢性的な炎症を起こして、症状がある活動期と症状のない寛解期を繰り返します。

潰瘍性大腸炎

特徴的な症状としては、腹痛と下痢で血便を伴う場合もあります。内視鏡所見として大腸の粘膜にびらんや潰瘍が生じ、直腸から連続的に、そして上行性(口側)に広がる性質があります。また腸以外にも、皮膚や目、関節などに合併症を起こすこともあります。治療は基本的に内科的治療が行われます。しかし、重症の場合や薬物療法が効かない場合には手術が必要となることがあります。

クローン病

症状としては、腹痛と下痢が多いのですが、病状によって肛門疾患(痔瘻)や発熱や倦怠感を伴うことが潰瘍性大腸炎と相違しています。また潰瘍性大腸炎との違いは、病変が大腸にとどまらず口から肛門(痔瘻)までのすべての消化管に発生す可能性があることです。そのほか連続しない病変も特徴で、病変と病変の間に正常な組織が存在し、病変は粘膜だけでなく消化管の壁全層に起こることもあります。潰瘍性大腸炎と同様に皮膚や目、関節など腸管以外にも合併症がみられることがあります。

大腸憩室症

大腸壁に5~10㎜のポケット様のへこみを憩室と呼びます。先天性または後天性の原因で腸管内圧が上昇することで形成されると考えられています。通常は無症状ですが、憩室内の血管が破れて出血したり、憩室内に細菌が感染して起こる大腸憩室炎といった急性疾患を生じることもあります。憩室自体は治療不要ですが、血便を伴う憩室出血や大腸憩室炎と診断された場合は、腸管安静が基本治療で加えて憩室炎には抗菌薬治療が追加されることがあります。憩室穿孔や憩室出血や憩室炎を繰り返す場合は、腸管切除を含めて外科的治療が必要な場合があります。

痔疾患

①痔核(イボ痔)、②裂肛(切れ痔)、痔瘻(あな痔)が三大痔疾患と言われています。

①痔核は排便時や出産、重い物などを持った時にいきむことで、肛門周囲の小血管網
(静脈叢)がうっ血して大きくなり、粘膜が膨らみます。これが慢性的に大きくなったものを、痔核と言います。肛門の内側にできるものを「内痔核」、外側にできるものを「外痔核」と区別します。痔核の基本治療は排便習慣の改善で、排便時の極度の努責(いきみ)の軽減や便座使用時間の短縮により肛門の負担を減らすことができます。また排便習慣とあわせて内服薬や軟膏、坐剤を併用することで、症状の改善が早まります。

② 裂孔は便秘や下痢便で肛門に強い圧がかかり、肛門付近の皮膚や粘膜が裂けた状態です。肛門粘膜の裂傷では痛みは伴わないことが多いですが、肛門皮膚の裂傷では疼痛をい伴うことが多くなります。治療は痔核と同様です。

③ 痔瘻は下痢で肛門周辺の「肛門陰窩」というくぼみから細菌に入り込むことで肛門腺が化膿(肛門周囲膿瘍)し、その膿が皮下にトンネル(瘻孔)を通じて肛門周囲の体外に排出されるようになった状態を指します。アルコールの飲みすぎやストレスも、原因といわれています。治療は肛門周囲膿瘍であれば切開排膿で改善することもありますが、痔瘻に進んだ場合は、保存的治療(内服治療や坐剤治療など)では完治することはなく手術的に根治治療が必要となります。

内痔核

大腸癌

近年、わが国の大腸がんの罹患率は男性、女性ともに年々増加傾向にあります。大腸がんに罹患する人は男性に多く女性の1.3倍とされます。
大腸がんの発生に関しては環境的要因と遺伝的要因どちらも重視されていますが、環境的要因では高蛋白食、高脂肪食、低繊維食、飲酒、喫煙、運動不足などが大腸がんのリスクとして挙げられています
 大腸癌は早期癌と進行癌に分類され、早期癌は胃壁の粘膜下層まで癌腫が浸潤している状態で、進行癌は胃壁の固有筋層より深くまで浸潤している状態をいいます。症状は食道癌や胃癌同様に早期のものは無症状のものが多く、殆ど無症状のため大腸がん検診、人間ドックなどで偶然発見されるケースが多いです。進行すると血便、排便習慣の変化(便秘、下痢)、便が細くなる(狭小化)、残便感、貧血などで、腫瘍が大きくなり腸管の内腔が狭くなると腹痛、腹部膨満感、嘔気、嘔吐などの症状が出現します。
 大腸癌の早期発見には内視鏡検査が一番有効となります。内視鏡検査は病変の位置や大きさだけでなく、広がりや腫瘍表面の形状、色調などから、病変の深達度(腫瘍の深さ)が推測できます。また、色素内視鏡検査や狭帯域光観察によっても病変の広がりや良性・悪性の判定が可能となっています。最終的には、病変から直接組織を採取し(生検)、病理検査(顕微鏡)で癌診断することで診断が確定します。病変が明らかに粘膜下層より深く浸潤している場合は、周囲リンパ節や他臓器転移を確認するために超音波内視鏡やCT、MRI、PETなどを用いて病期(ステージ)診断をします。
 治療はステージによって異なり、腫瘍が大腸粘膜から粘膜下層浅層までで、リンパ節や他臓器転移がなければ一般的に内視鏡治療が優先されます。内視鏡治療は経口内視鏡を用いて病変を取り残しがないように周囲の正常組織と共に一括切除します(EMR・ESD)。一方で、病変が粘膜下層深層から筋層の深部まで深達している場合や他臓器転移含め高度進行している場合は、手術や化学療法が選択され、各治療方法を組み合わせた集学的治療も病期よって標準治療になっています。
参照:国立がん研究センター中央病院HP( https://www.ncc.go.jp/jp/ncch/clinic/colorectal_surgery/140/index.html

早期大腸癌

症例1(同一患者)

通常光
特殊光(NBI)

症例2(同一患者)

通常光
特殊光(NBI)

進行大腸癌

大腸腫瘍(その他)

大腸粘膜下腫瘍

腫瘍が粘膜の下に存在し、表面が正常粘膜に覆われ正常粘膜が盛り上がっているように見える病変です。食道や胃と同様に大腸の粘膜下腫瘍の大半は良性(平滑筋腫、脂肪腫、リンパ管腫など)です。一方で消化管間葉系腫瘍(GIST)と呼ばれる粘膜下腫瘍も大腸に稀ですが発生することがあります。他にカルチノイド(NET:神経内分泌細胞腫瘍)も大腸粘膜下腫瘍に分類され、直腸に好発します。大腸粘膜下腫瘍も胃粘膜下腫瘍と同様に無症状のことが多く、バリウム検査や内視鏡検査で偶然見つかることが大半です。治療は有症状(痛み、嚥下障害など)や、短期間で増大傾向の場合は手術的な腫瘍摘出(小さい場合は内視鏡治療)が優先されます。但し、カルチノイドなど悪性腫瘍が疑われる場合は大腸癌に準じた治療も検討されます。

大腸脂肪腫

大腸カルチノイド(NET:神経内分泌細胞腫瘍)

症例1(同一患者)

通常光
特殊光(NBI)

症例2(同一患者)

通常光
特殊光(NBI)

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