①痔核(イボ痔)、②裂肛(切れ痔)、痔瘻(あな痔)が三大痔疾患と言われています。
①痔核は排便時や出産、重い物などを持った時にいきむことで、肛門周囲の小血管網
(静脈叢)がうっ血して大きくなり、粘膜が膨らみます。これが慢性的に大きくなったものを、痔核と言います。肛門の内側にできるものを「内痔核」、外側にできるものを「外痔核」と区別します。痔核の基本治療は排便習慣の改善で、排便時の極度の努責(いきみ)の軽減や便座使用時間の短縮により肛門の負担を減らすことができます。また排便習慣とあわせて内服薬や軟膏、坐剤を併用することで、症状の改善が早まります。
② 裂孔は便秘や下痢便で肛門に強い圧がかかり、肛門付近の皮膚や粘膜が裂けた状態です。肛門粘膜の裂傷では痛みは伴わないことが多いですが、肛門皮膚の裂傷では疼痛をい伴うことが多くなります。治療は痔核と同様です。
③ 痔瘻は下痢で肛門周辺の「肛門陰窩」というくぼみから細菌に入り込むことで肛門腺が化膿(肛門周囲膿瘍)し、その膿が皮下にトンネル(瘻孔)を通じて肛門周囲の体外に排出されるようになった状態を指します。アルコールの飲みすぎやストレスも、原因といわれています。治療は肛門周囲膿瘍であれば切開排膿で改善することもありますが、痔瘻に進んだ場合は、保存的治療(内服治療や坐剤治療など)では完治することはなく手術的に根治治療が必要となります。